ADLER SOLAR WORKS
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2016.12.01

思わぬコストを回避する、発電量の簡単な評価方法とは

今後ますます重要になっていく太陽光発電所の運用保守。しかし、具体的にどのような点に着目して取り組めば良いのだろうか。本連載では日本で太陽光発電所の運用保守事業を手掛けるアドラーソーラーワークスが、実際の事例を交えながらそのポイントを紹介していく。第4回は発電量の評価方法について紹介する。

2016年は特に太陽光発電の実績が予想収支に反して低い、という話をよく聞く。これは例年に比べて台風が多く発生し、降雨も多かったことに起因するのだが、単純な発電量だけを見て設備の不具合を疑っている発電事業者も多い。そこで今回は、発電設備のパフォーマンス(発電量)に対する評価方法について考えてみたい。

そもそも太陽光発電設備の発電量の評価はどのようにするべきだろうか。もっとも一般的な指標はシステム出力係数(Performance Ratio)であろう。Performance Ratioの頭文字をとってPR値ともいわれ、以下の式で求めることができる(図1)。

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図1 パワーコンディショナーの出力電力量を、アレイ面日射量と標準アレイ太陽電池出力との積で除した値。太陽光発電システムの性能を示す指標として用いられる(JIS C8960-712)

太陽光発電の発電量は、計画段階においてPR値を使ってシミュレーションで算出し、それをもとに稼働後のO&Mのフェーズで管理していくことが望ましいと考える。事前に算出したPR値を指標として参照することで、遮光や汚れによる損失、ケーブルやインバータに起因した損失など、実際に発生するさまざまな損失要素を加味した指数で発電量を把握でき、単純なシステムの出力実績だけでは分からない設備の実態を理解する足掛かりとなる。

発電所の売り手側(EPCなど)、買い手側(事業者)にこの認識が薄いと、天候の変動といった不可避の発電量の低減なども問題視するようになってしまい、結果的に追加調査/検査によりO&Mのコスト増につながる恐れもある。

事前の分析不足が発電損失を招いた事例

下に示すグラフ(図2)は、アドラーソーラーワークスが発電量の低下から発電設備の不具合調査を依頼された例である。山梨県の甲州某所にある発電所のシステム出力係数の履歴を示したグラフだ。


図2 甲州某所にある発電設備のシステム出力係数(クリックで拡大)出典:アドラーソーラーワークス

このグラフを見てみると、1月と12月のシステム出力係数が極端に悪いことが分かる。その他の月の数値はほぼ80%前後を記録していることから、コンポーネントの不具合ではなく、遮光を含む現地環境が原因と推測した。そこで遮光物の確認を経て弊社にて再度シミュレーションを実施したところ、発電量の低下はアレイの自己遮光および周辺樹木の近遮光が原因であるという結論に至った。

最終的にはアレイの角度変更を提案し、それにより翌年1月のシステム出力係数は70%台まで回したのだが、設計やO&Mのフェーズで正しく発電量に対して分析が行われていれば、こうした第三者による調査は必要なかったはずだ。

日本の太陽光発電設備のパフォーマンスはばらつきが大きいと感じることがあるが、山が多く緑が豊富な日本は遮光物も多いため、これは当たり前のことかもしれない。しかし現状では、低圧の発電所に限らず、購入前シミュレーションの精度に問題があったり、コスト優先で日射計、温度計などの環境データを計測する機器を備えていなかったりする発電所が多いのが現状だ。

イニシャルコストの低減ばかりに注力していると、後のO&Mなどのランニングコストで思わぬ出費がかさむことにもなりかねなので、注意願いたい。